秋の昼下がり、時間が止まったような・・・なんだか心地よい空間がありました。松江・塩見縄手にある小泉八雲旧居です。 ここは小泉八雲(ラフカディオ・ハーンまたはラフカディオ・ヘルン)が明治24年の5月から11月までの6ヶ月間新婚生活を過ごした屋敷で、元々は松江藩士の武家屋敷だったということです。屋敷の周りには三方に庭があり、八雲は中央の部屋から三つの庭を眺めるのが好きだったと云われています。写真はその座敷と北側の庭。著作「知られざる日本の面影」の第16章「日本の庭園」の舞台です。 明治23年に日本の地を踏んだラフカディオ・ハーン。明治37年に日本人「小泉八雲」としてその生涯を終えるまで、彼は松江、熊本、神戸、東京と移り住み、旅をしながら、豊かな好奇心と鋭い感受性、持ち前の夢想的な性向によって極東の小さな島国「日本」を見つめ続けました。 日本の伝統への賛美と近代化の潮流に対する激しい嫌悪、外国人としての疎外感、祖国への郷愁、周囲の人々への猜疑心といったさまざまな思いが八雲の中でせめぎ合っていました。 そうした八雲が世に送りだした「知られざる日本の面影」「東の国から」「心」「怪談」といった作品は欧米の多くの人々に歓迎され、時がたつにつれ、私たち日本人から一層愛読されるようになりました。(I) |