稲積山の南麓・日南町豊栄(ふくさかえ)に柿の老木がありました。 集落の奥にある大きな柿の木はまるで村の長老のような佇まいでした。白くなった幹・枝がまるで天に根をはったようにも、また天に手を伸ばしているようにも見えました。 奥日野の山村では柿の木が目に付きます。山や、畑の片隅だけでなく農家であれば庭に、1、2本の柿の木を持っているのが普通のようですね。古くはすべて渋柿でしたが、鎌倉時代に甘柿が現れ、さらに時代を経るにしたがい、赤柿、御所、富有・・・と種類を豊かにしてきたということです。 渋を抜いた柿や、肉の厚い富有柿は口にすることが多いですが、熟しきった軟らかい柿はなかなか口にすることができません。歯に泌み入る甘さはまた絶品ですけどね・・・。これは柿の木を持っている人の特権でしょうか。
山村では軒先に吊し柿を縄暖簾(のれん)のように下げている農家が多くなりました。吊し柿の甘味は、風が冷いほど増すということで、柿縄暖簾が見られるようになれば秋もいよいよ終りです。(I) |